« お手伝いさんはスーパースパイ! | トップページ | 訪日観光マーケティングで思うこと »

2014年10月31日 (金)

日本の作文教育

先日紹介した米原万里さんの「言葉を育てる」という本の後半を読んでいます。

51hfmqukesl_sl500_aa300_
この本は米原さんがいろんな方と話した対談集で、他の本で読んだ似たような内容が書いてあるんですが、それでも内容が濃いし、リアルだからとっても好きです。
で、糸井重里さんとの対談のなかで「日本の作文教育」について語るところがあるんですが(P307)、日本の作文教育には評価基準がない、「よくできました」「大変よくできました」何がどういいのかというのはぜんぜんわからないから、買いても書きっぱなし。だから、その後にさらにうまくなる可能性はも、ぜんぜんないって確かにそうだなぁって。
万里さんがソ連学校で受けた作文の授業というのが面白いです。以下引用。
例えば、「じゃあ、友達について書きましょう」ということになると、名作の人物描写の部分をぜんぶ抜粋してきて読ませるんですよ。例えば「戦争と平和」のナターシャ・ロストワという女主人公にピエールという語り手が出会う場面の前に、彼女に関するウワサがあって、出会って、そのときの第一印象があって、顔とか口とか目の描写があって、その後、直接主人公との交流があって、ある事件があって主人公のナターシャの成長があってと、とにかくそういう風に抜粋を読ませて、その内容の要旨っていうのか、どんな構造になっているのか、というのを書かせるわけです。ツルゲーネフの「初恋」でも何でも、とにかく幾つかの名作を読ませて、それがどういう構造になっているかというのを分析させてじゃあ、あなたんがおかさんについてだとか友達についてだとかいうことを書くなら、それをどういう構造で書くかと。まず彼女の評判から書く?あるいは彼女の目の描写から書く?そういったことを、とにかく「構造」をまず書かせるわけ。構造を書かせた上で、構造に基づいて、まず作文させる。当初の構造どおり書けたか書けなかったか、というのを確認しながら、じゃあ、構造を変えていくとかいうふうにしてね。
こんな指導があったら書き方もわかるし、具体的に何が評価されているのかがわかる。
わたしも子どもの頃から本読むの好きだったし、いわゆる「創作」ということに興味があったからストーリーを作ってマンガを描いたりしてたし、授業中に原稿用紙1枚分書きなさいと言われたら苦労なく埋めることができたけど、読書感想文で選ばれたりしたことはなくて、どうすれば選ばれるようないい作文が書けるようになるんだろうと漠然と思っていたような気がします。とはいえ当時は小学生だったし先生の言われるままに書くことばかり考えていたんだけど。
で、糸井さんのほうは日本の作文がインパクト主義になっていることを指摘。
「泣かせるのがいちばんいい」ということになっちゃうんですよ。要するに感情を揺すぶるといのは、身を切って揺すぶれば一番いいわけで、極端にいうと、クラスで一番不幸な子がありのままを書けば先生に褒められますよね。でもぼくは、あの構造を小学校のときから怪しいと思ってたんですよ。おかしいなあと思ったんです。だけどそれは(中略)ウソを書くときだけ、作文の点がよかったんです。たとえば擬人法を学ぶからといって、何かモノを主人公にして書きなさい、というときは点がいいんですよ。だけど、遠足に行ったこととか
父のことを書けとか、全部嫌だった。
これに対して万里さんは日本の私小説がまさにそれで、つまらなくて、苦痛のような、画面試しのような感じと発言。ソ連学校では自分のことについて書きなさいというのはなくて、冬について書けとかサーカスについて書けというのが多かったらしい。対談の中でふたりは自分と向き合うというのはとても大切なことと断りながらも、本当に言いたいことは、人に言う時期が来るまで言わないというのが人間だけど、それを出した子を先生が褒めていて、若い女の子をだましてやらしちゃうポルノ映画のようだと。。。
糸井さんがよく課題に出すのは、「自分の好きな食いものを人に勧める文章を書け」というものらしい。なるほど、わたしもグルメブログ、もっとしっかり書こうっと!

|

« お手伝いさんはスーパースパイ! | トップページ | 訪日観光マーケティングで思うこと »

本・audio books」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/519380/57853337

この記事へのトラックバック一覧です: 日本の作文教育:

« お手伝いさんはスーパースパイ! | トップページ | 訪日観光マーケティングで思うこと »