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2008年10月15日 (水)

すべては脳からはじまる

尊敬する茂木健一郎先生のエッセイ集です。

すべては脳からはじまる (中公新書ラクレ)

すべては脳からはじまる (中公新書ラクレ)

知的満足の一冊。

脳に関する記述については、なるほど!そうか!といったものが多く、

一方、茂木先生のものの見方や世の中への指摘は
わたしが日頃何気に感じていることと重なっている部分が多い。

例えば、ダヴィンチ・コード、王貞治監督、日本のサッカーの弱さ、
クラシック、ジャズ、河合隼雄先生など。

ほんとうに、ほんとうにうれしい!


以下、興味深かったこと

○哲学やクラシック音楽を楽しむこと(高度な精神の希求)と、おいしいものを食べたり、酒やたばこを楽しむこと(生物学的欲求)では、脳の同じ回路で処理されている。高尚なものも、低俗なものも、同じ。

○記憶力というと、何年経っても同じ情報を正確に再現できることが、強調されがちだが、本当に大切なのは、脳の中の記憶を整理・編集して、生きるために大切な意味をみいだすこと。

○人は行動を起こす際、何かするべきだ、と思っても、具体的な方法がわからないと、脳はフリーズしてしまう。いざという時のために、具体的な行動をイメージしておくとよい。

○肉体の限界よりも、脳の限界が先にくる。安全装置を作動させて、ブレーキをかけるようにできている。運動選手は、それを外すことで最大極限で最大のパフォーマンスをする。

○しかし、自らの上限を超える能力を発揮して新記録を出すのではなく、練習のときに高い負荷をかけておいて、当日余裕をもった状態で臨む。集中したときは、周囲のすべてが見え、だからといって一つのものに
心をとらわれていない状態。

○自分の才能を活かすとは、つまり、脳の中にある見えないパターンを、見えるように外に出すということ。

○寿司でウニやいくら(好物)を残すのは、ほぼ確実に好きなネタが食べられる「予期」を脳がよろこぶから。

○文脈は大切。戻るところがあるという文脈があるから海外旅行も楽しめる。異国という文脈が唯一のものになってしまうと、逃げ場のない生活と化する。

○日本とイギリスでは、「田舎」の意味がまったく違う。家が100軒もないところには、小さいけれど立派なパブがあり、日曜の午後には正装した若者たちが集まる、というのは
人生の経験から得た「世界はこうなっている」というモデルから外れる。

○人間の脳は他人との関係性から多くのよろこびを得るが、その本筋は誰かの役に立つことができたとか、心が通じ合ったという点。一番になるという数字自体は、人に認められる、ほめられることの副次的なこと。

○ジャズの音階のことを、ブルーノートという。ジャズの本場、NYやシカゴ、ニューオーリンズで生演奏を聴く。

○脳にとって、自由とは、抑制から解放されることであると同時に、かなりのプレッシャーを感じることでもある。自由にやってよいとなると、脳は側頭葉にたくわえられた過去の体験を総動員して、何とかその時々の状況に適したものを生み出そうとする。

○ギャップ理論:例)モーツァルトの楽曲は完璧で優美であるが、人柄は活気に満ち、冗談好きで、猥雑ですらあった。

○中国や韓国を悪し様に言う人たちは、これらの国の人たちとつき合わずとも生きていけると思い込んでいるだけのことではないか。

○日本語で書いたものは、読者が日本人に限られる。日本語で書かれた近隣諸国に関する威勢のよい文章はどうしても内弁慶、仲間受けになってしまう。

○東京の現状に閉鎖的なところ、自己満足的な点があるとすれば、修正しなければオリンピック招致には成功しないだろう。

○世界的に見ると、人生の履歴に「空白をつくらない」日本のやり方は、むしろかなり特殊なものらしい。

○日本においては有効性や効用に導かれた科学文化は称揚されても、世界観を問題にするような本格的知への渇望はなかなか一般化しない。

○日本の法学者は条文にこだわるが、一方イギリスは成文憲法を持たない。そしてイギリスで1215年に制定されたマグナ・カルタが、現在でも憲法の一部分を構成する。

○相対性理論で知られるアインシュタインは、「人間の価値はどれくらい自分自身から解放されているかで決まる」という言葉を残した。

○段取り=ルール。私たち一人ひとりは、自分自身の状況判断を、どれだけ信じて行動しているのか。ルールばかりを優先してはいないか?

○自分さえ儲かればあとはどうなってもいい、というふるまいは生物界ではむしろ普通。他人を思いやったり、公正さを大切にするのは進化の過程からみると贅沢。その贅沢こそが人間らしさ。

○人生は順風満帆のときばかりとは限らない。調子が悪いときにこそ、「自分を奮い立たせる回路」の真価が問われる。

○「下流社会」という本で指摘された「下流」の若者ほど、「自分らしさ」にこだわるという傾向。そして自分らしさを発揮するシステムを提供する人が一人勝ちする。

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コメント

ちょうど、聡子から彼の本いいよ~って薦められてたところだった!今人気なのかね!
ためになりそうな本だわ。

投稿: もこ | 2008年10月17日 (金) 04時14分

お〜さとこちゃんは元気?

人気だよ。本もバンバン出てるんだけど、50万冊とか売れてるよ。

何よりステキな人なの〜!
かなり好みです♪

投稿: may | 2008年10月17日 (金) 06時06分

この本、とってもおもしろそうだねー!
興味アリ!!

投稿: Gina | 2008年10月20日 (月) 01時39分

次回お持ちします!
お借りしてる本とともに。

さらに「脳の中の人生」も買ったよ。こちらもよさげ。うふふ。

あー、彼こそmr.rightなんだよな〜。

投稿: may | 2008年10月20日 (月) 07時49分

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